2025年5月28日、名古屋市の市立小学校で行われた理科の授業中、誤った実験指導によりエタノールに引火し、女子児童が右腕に重いやけどを負うという痛ましい事故が発生しました。やけどを負った児童は現在、手術を受けるため入院中です。
問題となったのは、担当講師が本来「湯せん」で行うべき実験を、エタノール入りのビーカーを直接ガスコンロで加熱するよう指導した点です。さらに、事故後も救急車を呼ばず、学校は教頭の判断のみで保護者の迎えを待ちました。この対応が、児童の回復に大きな影響を及ぼす可能性があります。
この一連の対応から浮かび上がるのは、専門的な医療判断を即座に下せる体制の欠如です。学校現場には日々、怪我や体調不良といった予期せぬ健康トラブルが起こり得ます。しかし多くの公立小学校には、常勤の学校医がいないのが現状です。これでは、緊急時に適切な判断と対応が遅れ、今回のような重大事故につながるおそれがあります。
もしこの小学校に常勤の学校医がいれば──事故直後に迅速な応急処置が行われ、救急搬送の判断も医療の専門家の目で下されていたことでしょう。子どもたちの命と健康を守る最前線にいる学校だからこそ、常に医療の専門家が必要なのです。
名古屋市教育委員会は今回の事故を受け、市内すべての市立学校に対し予備実験の徹底と救急対応マニュアルの遵守を求めています。だが、マニュアルでは救えない命があることを、私たちは深く認識すべきです。
子どもたちの安心・安全な学びの場を実現するために、常勤学校医の配置は、もはや「望ましい」ではなく「必要不可欠」なのです。