学校医不足の現実と、制度改革の必要性

  • 2025年9月15日
  • 2025年9月15日
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―広島の現状から考える「本当の学校医」の在り方―

広島県で「学校医の担い手不足」が深刻化しています。
小中学校での健康診断や保健活動を支える学校医は、子どもたちの健康と命を守る大切な存在ですが、今、その土台が大きく揺らいでいます。

「学校医が足りない」報道

https://news.yahoo.co.jp/articles/29fdfab1217449203c3dc97a25df738f14eac56e

「健診がある4~6月は花粉症の患者も多く特に忙しい」。広島市佐伯区の耳鼻科医院の今井崇勝院長(54)は実情を話す。7校の学校医を務めつつ、他の学校医を補助する協力医として年約20回の健診も受け持つ。毎年この時期は午前の診療後、昼食も取らずに学校へ向かう。健診は時間短縮のためいすに座らず中腰で進め、午後の診療開始までに医院へ戻る。

こうした現場の声から浮かび上がるのは、「制度疲労」に直面する学校医制度の姿です。

こうして残された学校医に業務が集中し、1人で10校以上、時には30校を超える学校を担当するケースまで生じています。これはもはや「ボランティア精神」に依存した制度と言わざるを得ません。

記事には報酬も全国的に1校あたり年間20〜25万円程度とありますが、これは責任の重さや労力に見合った金額では全くないうえ、それよりも低額なところはざらにあります。


学校医制度が抱える構造的な課題

本来、学校医は健診をするだけの存在ではありません。感染症の流行時には助言を行い、子どもや教職員のメンタルヘルスにも関与し、さらには学校全体の健康安全体制を支える存在です。

ところが現行制度では、学校医の業務は「年に数回の健診」という形で矮小化されがちです。報酬も全国的にボランティア程度の低額で、児童数や業務の実際の負担は反映されていません。

この構造的な「軽視」が、制度疲労や担い手不足を加速させているのです。


日本学校医会の提言

私たち日本学校医会は、こうした現状を乗り越えるために活動しています。

  • 学校医業務の再定義:健診だけでなく、健康教育・感染症対策・メンタルケアまで含めた幅広い役割を担う。
  • 認定制度の導入:一定の研修や経験を積んだ医師を「認定学校医」とし、社会的評価を高める。
  • 専門医制度の設立(計画中):経験豊富な学校医を「専門医」として認定し、専門性を制度的に保証する。
  • 報酬制度の見直し:児童数や業務量に応じた適正な報酬を確保し、持続可能な制度とする。
  • 透明な契約の確立:医師と学校を直接つなげる仕組みを整備し、専門性を欠いた業者介入を排除する。

これは単なる「制度の整理」ではなく、子どもたちの命を守るための最低限の基盤づくりです。


子どもたちの未来を守るために

学校は、子どもたちが一日の大半を過ごす場所です。もし学校で健康上の危機があったとき、それを察知し、支えられるのは誰でしょうか。担任の先生だけではなく、保健室の先生だけでもありません。専門性をもつ学校医がいるからこそ、子どもたちは安心して学び、成長することができます。

「学校医がいなくなる」ということは、子どもたちの安全と健康の根幹が揺らぐことを意味します。
だからこそ今、制度改革と社会的理解が欠かせないのです。


教育現場・保護者・地域へのお願い

学校医の問題は、医師だけの問題ではありません。教育委員会、教職員、そして保護者、地域の皆さま一人ひとりが関わるべき課題です。

  • 子どもたちの健診や健康相談が「誰かの善意」に頼っている現状を知ってください。
  • 学校医の役割が単なる「健診」ではなく、学校全体を守る責任を持つ存在であることを理解してください。
  • そして、制度の改善に向けて声をあげてください。

最後に

私たち日本学校医会は、すべての子どもたちが健康で安心して学べる学校を実現するため、専門性と倫理観をもって活動しています。

「本当の学校医」を社会に根づかせること。
それは、子どもたちの未来を守るための私たちの使命です。

どうかこの問題に関心を寄せていただき、共に解決の道を探っていきましょう。