【特集】いじめと自殺の悲劇から見える「学校医」の必要性――心のケア体制の見直しを

  • 2025年5月17日
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2021年、北海道札幌市で中学1年生の女子生徒が、長期間にわたるいじめを苦に自ら命を絶つという痛ましい事件が起きました。SNSでは「首つって死んで」という心ない言葉が投げかけられ、2年以上にわたって苦しめられていたといいます。

そして今年、両親は札幌市に対し、教師がいじめを放置したことを理由に慰謝料などを求めて訴訟を起こし、札幌地裁は「いじめと自殺との因果関係」を認め、札幌市は謝罪とともに6000万円の賠償に応じる形で和解が成立しました。

■ 教師だけに背負わせてはいけない「心のSOS」の対応

この事件が明らかにしたのは、いじめを「見逃してしまう」学校体制の限界です。日々の授業や業務に追われる教員が、すべての生徒の心の変化に気づくのは現実的に難しく、重大な兆候を見落としてしまう可能性があります。

ここで注目すべきは、「学校医」の存在です。

■ 「体」だけでなく「心」の健康も守る役割へ

従来の学校医は、主に内科的な健康診断や感染症の管理、救急対応など、身体面での健康維持を担ってきました。しかし、いま求められているのはそれだけではありません。

学校医には「心の健康」に関する支援体制の中核としての役割も期待されます。心理的な不調の早期発見、スクールカウンセラーとの連携、教職員へのメンタルヘルス研修の支援など、精神的ケアの専門家としての機能が、学校現場には不可欠です。

■ 常在することで生まれる“信頼関係”と“予防効果”

非常勤ではなく常在の学校医がいることで、生徒との距離は自然と縮まり、「相談しやすい空気」が生まれます。何かあってから対応するのではなく、未然に防ぐ予防的な体制が築かれるのです。

また、保護者にとっても「すぐに医師に相談できる学校」という安心感は大きく、学校全体が“支える体制”として機能します。

■ 医療と教育の垣根を越えた連携へ

これからの学校には、教育と医療が連携し、子どもの健やかな育成を支える構造が必要です。学校医の常在は、その第一歩となります。

  • 精神科・小児科の知見を持つ医師の配置
  • スクールカウンセラー、養護教諭、教員とのチーム連携
  • 地域医療機関との連動した支援体制

こうした仕組みが整えば、いじめ・虐待・心の病など、さまざまな問題の「早期発見」「早期対応」が可能になります。

■「そこにいてくれる」だけで、救われる子どもがいる

常在の学校医がいるだけで、子どもたちにとって「安心できる大人がいる場所」が生まれます。

そして、それは「命が守られる社会」への大きな一歩です。

いじめや自殺のない学校をつくるために、今こそ国や自治体は、すべての学校に“常在する学校医”を配置する制度を本気で考える時です。